コラム 2021-07-13

ドット絵の嵐!「ドット絵コンテスト」でたくさんの仲間と繋がろう【#つくイベProject】

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ドット絵の嵐!「ドット絵コンテスト」でたくさんの仲間と繋がろう【#つくイベProject】

こんにちは!キュレーターのとるてです。

「#つくイベproject」久しぶりのインタビュー記事です。今回も、SNS上で行われている作品募集などの企画の主催者さんから詳しくお話を伺って、クリエイターさんのいろいろなギモンを解決していきます!「#つくイベproject」について詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。

さて、第3回のゲストは、「ドット絵コンテスト」を主催されているびねつさんです。コンテストは今年5月に始まったばかりですが、既にドット絵界隈でその名を轟かせつつあります。無機質な四角の点で作られる鮮やかなドット世界の魅力と共に、コンテストの今後について詳しく伺ってきました!


「ドット絵コンテスト」
ドット絵が描きたいと思ったら、誰でも参加できるコンテスト。エントリー作品は匿名で運営Twitterに投稿され、全ての人が「いいね」などで審査員として参加できる。
Twitter / Discord

びねつさん
フリーランス、イラストレーター(ドット絵)。Twitter上で「ドット絵コンテスト」を運営している。
Twitter / ホームページ

 

※インタビューにはとるて鯖井テトラポット(イラストレーター)が参加しました。

Contents

    初回から100名近くの参加者が

    とるて 早速、「ドット絵コンテスト」ついてお聞きしていきます。「ドット絵コンテスト」は、運営用Twitterアカウントに匿名で作品が掲載されて、いいねなどの投票により受賞者が決まる、ドット絵を描きたいと思う人なら誰でも参加できるコンテストですね。まだまだ始まったばかりですが、始めたきっかけは何だったんですか?

    びねつ ゴールデンウイークにTwitterで「スペース」という機能が実装されて、いろんな方とスペースで話すようになりました。その中で、別のコンテストをやっていたという方から、「びねつさんは人を巻き込んで色々するのが得意なんだから、コンテストの運営みたいなことをした方がいい」とご助言いただいたんです。それがきっかけで、既存のコンテストと比較しつつ色々考えた結果、「ドット絵コンテスト」を開催すれば絶対必要としてくれる人がいるなということが分かったので、企画しました。

    ▲第2回のエントリー作品。結果発表は6月26日に行われた。

    とるて 記念すべき第1回では100名近くの参加者が集まったということで、すごいです。

    びねつ 第1回でしたし、僕自身に権威的な価値だったりとかブランド力があるわけではないと思っていますし、宣伝も大々的に行っていたわけではないので、すごく意外でした。

    とるて 第1回の「ドット絵コンテスト」では、いいね賞1名と、審査員賞2名の合計3名が受賞されていましたね。受賞者にはどんな特典があるんですか?

    びねつ 「ドット絵コンテスト」運営アカウントの「ド」というアイコンと同じ柄の缶バッジとステッカーをプレゼントしました。

    鯖井 分かる人が見たら分かるみたいな感じでいいですね!

    ▲第1回入賞者のTwitterより。

    びねつ 持ってて嬉しいというよりは、もらっても邪魔にならないモノがいいと思って選んだところはあるんですよね(笑)いずれコンテストの規模が大きくなっていけば、実地でのイベント開催とか、コミケなどの既存イベントで受賞作品をまとめた同人誌を出したりとか、グッズ展開なども考えています。

    びねつさんのドット絵

    とるて びねつさんはイラストをメインのお仕事にされているんですか?

    びねつ まだそんなことはないですね。イラストを仕事にしていこうと思ったのが今年の2月くらいです。ちょうどその時やっていた仕事を辞めた関係で、失業手当とか、コロナ関係の補助金などがあって、それで食いつなぎながら、イラストの収入を上げようと頑張って、作家生命を伸ばしてる、みたいな。

    とるて では、今後イラストを頑張っていきたいと?

    びねつ そうですね。これからはイラストと、前職でやっていたウェブ系などを中心に、フリーランスで色々やっていこうかなと考えています。

    とるて ドット絵はいつ頃始められたんですか?

    びねつ 2018年の正月休みくらいに、暇でTwitter覗いてた時にドット絵を見つけて、「これなら俺もできるな」と思って始めました。

    とるて ものすごい直観です。その当初から、現在の2色構成という作風は変わらずですか?

    ▲アイコンと同じ紺とクリーム色の2色が印象的。

    びねつ いや、2色で作品を作り始めたのは2020年の、これも1月ですね、やり方を変えようと思って今のように2色で作品を描くようになりました。見返してみると、当初は今の青とクリーム色の2色ではなくて、普通に2色にしただけ、という感じですね。

    とるて その時は、どうして2色にしてみようと思ったんですか?

    びねつ 僕自身、多くの色を使ったり、多くの情報を処理するのがあんまり得意じゃないんですね。その中で、例えば色をなくせば、線や点の網掛けなどでの濃淡、各構成要素の関係とかだけでも、2色で魅せられるな、という確信があって。そこを追求したいなと思って色をなくす、ということをやってみました。

    とるて 実際に、どの作品も2色には見えないですよね。バイクの作品は特に、立体感があって好きでした。

    ▲バイクを描いたGIF作品。

    びねつ ありがとうございます。

    とるて ドットではなく、普通の絵は描かれるんですか?

    びねつ 最近ちょっと、普通の絵を描こうかなと、挑戦し始めているところです。ドット絵を始めるまでも、普通の絵を描くと言っても小学生の落書き程度で。絵をちゃんと描くのはドットが初めてですね。最近は美大生の友人もちょろちょろ出てきたので、今月はデッサン月間だってビシバシしばかれます(笑)

    とるて鯖井 ドットじゃないイラストも楽しみにしています!

    コンテストの魅力

    限られた色とサイズで最大の自己表現を

    とるて 作品を募集してアドバイスをするなど、クリエイティブイベントにはさまざまな形式がありますが、「ドット絵コンテスト」ではなぜコンテストという形式にしたんですか?

    びねつ コンテスト自体は付随するものであって、そんなに重きを置いていないんですね。続けていくこと、絵を描く習慣、みんなで作品について話し合う場を作ることを目的としていて、参加者のモチベーションを保つために、コンテストというイベントがあります。
    その中で、受賞を狙ってみるとか、受賞できなくてもみんなに認められる作品を作りたいとか、前回の自分よりうまくなりたいとか、自分なりの目標を持って取り組んでもらうために、同じような人が集まってドット絵を描くコミュニティを作りたかったんです。コミュニティを作ることが目的で、みんなが同じ方向を向いて制作していくためにコンテストがある、という感じですね。

    とるて 第1回の結果発表の(Twitter上で行われた)スペースでは、受賞した作品について、どんなところが良かったのか説明されていましたよね。受賞者が嬉しいだけでなく、受賞できなかった方も、どんな作品のどこがいいのかが分かって、次の目標を立てやすいという印象がありました。

    びねつ そうですね。1回で「ダメだ」とか「自分下手すぎる」と思うんじゃなくて、「次はこうしてみようかな」と思って制作に取り組んでいただけたら嬉しいですよね。

    とるて 同スペースにて、受賞作品の講評の中で、特に色の使い方について語られているのが印象的でした。ドット絵において、やはり色の選択というのは大切なんでしょうか。

    びねつ 絵を描くときは、まず形を描いて、質感を作って、その上に色を乗せていくイメージは、みなさん同じなんじゃないでしょうか。でも、色って形とか質感関係なく、その色だけでモノのイメージを伝えられるいちばん簡単な手段だと思うんですよ。
    例えば赤の服を着た人を見て、「活発そうな人だな」という印象を与えたりとか。赤と緑の組み合わせがあって、その下に青いイメージがくっついてきたら「オーバーオールを着たルイージとマリオだな」みたいな。あとは、戦隊でもレッドがいちばんかっこいいというように。そういう、色に付随する印象とか、想起させられることって非常に多いと思うので、そういう色というものに熱量を込めてほしい、という思いがあるんですね。

    とるて コンテストに関しては4色という制限がありますが、これは理由があるんですか?

    びねつ 3色が本当は良かったんですよ。3原色ってあるように、単純すぎず複雑すぎずという要素が欲しかったんですけど、背景に1色使うことを考えたら、メインモチーフに3色使えた方がいいのかなって思って。あるいは「色の3原色」と「光の3原色」とで違う部分もあるので、4色はちょうどよかったかなと思います。

    とるて びねつさんにとって、いいドット絵というのはどんな絵か、教えていただけますか?

    びねつ 絵の中の信念が破綻していないものですかね。例えば、魅せたいところはめっちゃデカく描くとか、派手な色を使うとか、魅せたいところってそれなりに目立つようにするじゃないですか。そこの一貫性がとれている、大きくて、いちばん彩度が高くて、いちばん前に出てくるような色で、みたいな、そういう熱量というか信念がめっちゃ伝わってくる絵がいい絵なのかなって思います。
    特に、コンテストで規定している64px×64pxというサイズって中途半端な数字なんですよ。ミニマムなキャラを1個置くには背景がさみしくなっちゃう程度には余白が大きいし、かといって背景を描くにはこれだと少ないんですよ。なので、そこの取捨選択、見せたいものは何か、を示すことができているのはすごく僕としては高評価ですね。

    とるて サイズの指定にもこだわりが詰まっていたのですね!

    びねつ もちろん、やってみて気が付いたところも多いですけどね。

    とるて そもそも、ドット絵だけにフォーカスするイベントって多くはないですよね。

    びねつ あんまりないですよね。「SHIBUYA PIXEL ART」っていうイベントがあったりとか、「pixel art park」というふたつが、日本では大きいモノだと思うんですが、このふたつのイベントを結構参考にしました。

    鯖井 私「SHIBUYA PIXEL ART」行きました!あれだけ一気に集まっていると壮観ですし、もっとたくさんドット絵のイベントがあればいいのになって思いますよね。

    ドット絵の描き方と考え方

    とるて 「ドット絵コンテスト」の参加者はどんな方が多い印象でしたか?

    びねつ スペースやDiscord上の会話に参加してくださった方で言うと、完全な初心者と、ずっとドット絵をやっていた方と、半々くらいの印象です。コンテストに参加してくださる方を見ても、かなり雑多です。ドットは描いてないけど絵は描いていたとか、完全に初心者で、コンテストのためにドット絵を始めましたという方もいましたし、ドット絵に慣れている方もいますし。このコンテストは、どんな属性の人にも合っているのかなと思います。

    とるて ドット絵って、始めやすそうな感じがしますよね。普通のイラストを描くよりも、ハードルが低い感じが、魅力なんじゃないかと感じました。

    鯖井 イラストを描いている私からすると、普通のイラストよりもドット絵の方が敷居が高いというか、難しそうなイメージがあります。引き算というか、研ぎ澄まされてる感じがあるなっていう印象で。それこそ64px×64pxってイラストだと何も描けないじゃないですか。その枠内でどうやって表現するのかなって、かっこいいなって思ってます。ドット絵を描く方がどんな世界を見ているのか不思議です!

    びねつ 解像度の大小があるだけで、普通のイラストを書かれる方のモチーフの見方と大して変わらないと思います。例えば形の単純化ですね。コップだったら、台形だなという風に、情報を軽くしてみる。そして、ここは光が当たっているから明るい色だ、ここは陰になっているから別の色にしようというように要素を分ける。じゃあ台形を2色で描けばコップに見えるな、という考え方ですね。目に見えるモノの状態から大幅に単純化し、激しい取捨選択を行って、それをドットという形に落とし込んでいるんです。

    鯖井 その取捨選択が美しいなと感じます。

    びねつ 確かにその取捨選択の精度が高いというか、捨てるものが多すぎるというのは分かります。

    とるて ドット絵って、どこから描き始めるんですか?ラフ?

    びねつ 僕は本当に絵が描けないので、ラフも作りません。

    とるて ラフを描かずに絵が完成するのは、やっぱり普通の絵とは違う気がしますね。

    びねつ 確かにそうですね。僕は表現したいものを表すことができる「最少ドット数」というところからスタートしてます。ラフがあると逆に難しいかなと思います。例えば、「目」は最低限このドット数で表せるなっていう形があったら、それは絶対に崩しちゃだめなんですよ。
    本当は高い解像度で表したいけど無理やり低い解像度にしたみたいな、妥協の末に出来上がる形ではなくて、この6個のドットで表したいと思ったら、それに合わせて、じゃあおでこは2ドット空いて、前髪はこのくらいで、と積み木を積んでいくような感じで描いてます。だから、ラフから低い解像度の絵を目指そうとすると、やることが多くなってしまうと思うんですよね。妥協ではなく、1ドットを大切にしたいんです。

    鯖井 へえ~!かっこいい。

    とるて なるほど。私はそれを聞いたうえで、まずはどうぶつの森のマイデザインに再挑戦してみたいと思います!(笑)

    みんながいいと思うことを

    とるて 今後「ドット絵コンテスト」をどういうところに落とし込んでいきたいという目標はありますか?

    びねつ ほかのコンテストなどと比較して立ち位置を決めていったという話は先ほどしましたが…イベントには、参加者に対する審査員の支配力が大きいものと小さいものがあると思います。例えば、ドット絵を描くツールとコミュニティを併設したサービスがあるんですけど、このサービスは権威性というところには欠けていて、その分、数によって個々人のやる気を支えているモノだと思います。
    「ドット絵コンテスト」は、審査員の支配力が強いイベントと、参加者個々が中心となるイベントの、両者の中間を狙うことを考えています。具体的には、若干の権威性と、若干のコミュニティの大きさによる民主主義みたいな公平性。さらには、このふたつとは違ったウェットな人間関係によって、個々人の作品の批評会だったりとか、一緒の時間に作業しましょうといったイベントを通じた、そういった人間関係を作ることを理想としています。

    とるて 人間関係という意味では、「ドット絵コンテスト」のDiscordサーバーがありますよね、ここではどんな会話が行われているんですか?

    びねつ ドット絵のアプリについて、こういったときはどんな機能を使えばいいんですかとか、僕が描いた絵に関して、ここってどういう風に書いてるんですかとか、ワンドロみたいに、今日はこのお題に沿ってドット絵を描いてみましょうか、といったことが主ですね。初心者の方だと、そもそもどんなツールを使って描いたらいいのかとか、分からないことがたくさんあると思うので、Discordに限らず気軽に聞いてほしいです。

    とるて そういったコミュニティをつくるコツってありますか?

    びねつ 伝え方はシンプルにするということですね。このコンテストに関して中間の立場を狙ってます、と言いましたけど、どういった方々のためにあるのかということを伝えることを意識しています。ドット絵を描きたいと思った人なら誰でも参加可能だというところが、みなさんにいちばん伝えたいことなんです。
    描きたいけど描けないとか、描き方が分からないとか、そういったもろもろを抱えている人ってものすごく多いと思うんですよ。それは一緒に描く人がいたり、目標となるコンテストがあったりすれば、真っ先に解決できるところだと思ったので、まず、描きたいと思っているかどうかを大切にしていることを伝えました。だからたくさんの方が参加してくれたのかな、と思います。
    コンテストはドットを描きたいと思う人たちのために作ったものなので、僕が大きな主導権を握るのではなくて、みんながいいと思うことをやっていきたいなと思います。

    ドット絵コンテストの参加方法

    Twitterでお題が発表されたら、ルールに従って作品を制作し、7日以内に各回のエントリーフォームへ投稿してください。
    エントリー終了後7日間は審査期間となり、ドット絵コンテスト運営アカウントにエントリー作品が投稿されます。審査期間は、作品をエントリーしていなくても「いいね」で投票に参加することができます。

    詳しい開催情報や参加のルールは、ドット絵コンテスト運営アカウント、またはドット絵コンテストDiscordサーバーにて発表されます。必ずご確認ください。

    ▲こちらからDiscordに参加できます

    現在は、7月3日より、第3回「ドット絵コンテスト」が開催中です!たくさんエントリーされる作品を見ているだけでも楽しめるイベントになっています。まずは、投票から参加してみてもいいですね。

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    #つくイベProject
    SNS上の創作イベントをキュレーションするプロジェクト。

    Writer この記事をかいたひと

    とるて |キュレーター

    1998 / 千葉県 / 社会人
    作るひとを支えるひと。クリエイターとファンの距離を近づける活動をしています。
    好きな人は森見登美彦氏。

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