SAKUZINEの創刊号を公開!【作字に対する考え方】

初めましてこんにちは、たかしーと申します。
このページを開いていただいたということはおそらく「作字」に対して何らかの興味を持っている方だと思います。
そんな方達に何か伝えることができれば良いなと思っています。
今回「SAKUZINE」をスタートするに当たって一緒に制作をするふくだとたかしーの2人で作字についてどんな考えを持っているのかなど色々お話をしました。
※この記事は2020年3月に作成された記事を一部修正し、掲載しています。
Contents
〈始めたきっかけはアメ?〉
ふくだ 普段イラレで作字しているんですけど大学でアドビのソフトを一括でダウンロードできるライセンスをもらったんです。実はイラレは結構前から...何なら保育園の頃から父親に教わりながらやってた記憶があって、そこでもう一度始めようと思いました。最初は作字というよりロゴを作っていましたね。誰に見せるわけでもなく自己満足で。それである日ツイッターで作字というものがあるのを知ったんです。ちょうど手元に『サクマ式ドロップス』の缶があったので、そのロゴを自分なりに作字してみようと思って作ったのが僕の最初の「作字」ですね。
▲ふくだ最初の作字「サクマ式ドロップス」
たかしー それはいつ頃ですか?
ふくだ 2018年の頭だったかな…もう2年以上経ってますね。きっかけもたまたまです(笑)
たかしー 僕は何だったかな...。僕はアドビを触ったのは高校ですね。僕は高校では情報系で、授業でアドビのソフトを使ってました。文字に興味を持ったのは大学を入学してからのワークショップで研究室でお世話になった方で、その方には文字組だったり基礎的な事を教えてもらいました。
ふくだ 今思うとデザイン学科の方が良かったと思いますね(笑)まさかデザインを大学でやるとは思わなかったから。
たかしー 僕もCGやろうと思って大学に入りましたからね(笑)今やってる事を考えるとデザ科だったかなと思いつつ。入学してから変わっちゃいますもんね。
ふくだ デザ科入ったら入ったで別の事やりたいとか思ってる世界線があるんですよ(笑)
たかしー 分かります(笑)そのあとは『平成最後のフォント』ですね。知り合いが参加していて「こんなのがあるよ」って聞いて自分も参加して作ったのが始めてですね。その時は数字の8が担当だったので、8かぁ...と(笑)
ふくだ 結構シンプルですね(笑)
たかしー まあ自分8月生まれだし8には縁があるし良かったかなと。それで昨年の『文ッ字フリマ』の展示を観に行って、そこで色んな人の作品に触れて自分も(作字を)やってみようと思ったのが きっかけですね。
ふくだ 『文ッ字フリマ』のあの空間は凄かったですよね。
たかしー あの凝縮感は凄かったですね。
〈 作字のプロセス 〉
たかしー 僕の作字の考え方は「文字」なので読めることが根底にあって、読めないほど崩したくないんですよ。文字には歴史もあるし全てを崩したくないというのがあります。なので「読める」「読めない」の間をうまく見つけられたらいいなと思ってます。それが上手く出来た作品は気に入ってますね。
ふくだ なるほど。
たかしー 文字って意外と人間の頭の中で補ってくれるじゃないですか。だからある程度崩しても行けるんだなということは思いますね。
ふくだ それは先に「こういう文字で作ろう」というのは決めてて、そこから崩し方を考える感じですか?
たかしー そうですね。「こういう感じがやりたいからこの文字にしよう」というのはあまりないですね。そのときたまたま目に入った言葉か、誰かに言葉をもらう時もあります。最近は、文字をイメージする物も入れてみようかなって思ったりするんですけど、基本はやりたいようにやってますね。連想とは関係なく、言葉がキツめでも柔らかい感じで作ったり。
ふくだ 僕もよくイベントとかで聞かれるんですよ。「どういう風に作ってるんですか」って。でもその場で答えにくくて。だからこういう機会があると話しやすいですね。
たかしー うんうん。
ふくだ 僕も先に言葉があって、そこからどうやって崩すかというやり方。モチーフは直接入れたくないですね。例えば『ラーメン』で作字をするとしてラーメンの麺自体を入れるのはしないですね。僕の場合はモチーフは入れないけど、「どこかラーメンっぽさを感じる」みたいな。線の太さとか、まとまり具合とか、そういうニュアンスを要所要所に含ませるやり方。作字の方法はパターン化してきてるんですけど、細かいディテールで遊んだりとかしてます。
たかしー やっぱり作り方が同じ感じになっちゃいますよね。
ふくだ 漢字とかだと同じ部首が来たりするじゃないですか。例えば「さんずい」の処理ってだいたい同じになっちゃうな〜とか(笑)
たかしー 「さんずい」は多いですもんね(笑)僕は斜めの線が続いていれば良いんですけど、斜めと縦の線が入るもの、「木」とかあまり好きじゃないですね。自分はだいたい片方が欠損します(笑)
ふくだ そうなんですよね。漢字二文字があった時に二文字目の一部がパターンから外れてる時は、そこだけ削っちゃいます。それ以外で上手く組み合わせて読ませるみたいな。
たかしー そうですよね。要らないってなりますもんね。ある程度そうなっちゃうのも仕方ないのかな。
ふくだ 「読める」というのが前提にありますからね。
たかしー 自分で授業を受けながら書くノートは自分が読めればいいので汚いですけど、でも読めるってことは理解できる範囲の崩れ方だから(一部が)無くても伝わると思うし。
ふくだ 僕の作品は手書きっぽい筆の流れのパターンと、ちゃんと一から考えるカクカクしてるパターンの2パターンに分かれるんですけど、前者は自分の書き方の癖を誇張してる部分があって、だから筆の流れに沿ってるんですよ。でもカクカクしてるやつ、たかしーさんの作品で言うと「愚者」とかのパターンってパーツを繋げる時は実際の筆では書かない繋げ方を敢えてやってますね。僕の作品だと『橋本環奈』は、はらいの部分に自分の書き方の癖が出てたりします。最近はギャル文字とか気になってます(笑)
〈インプットについて〉
たかしー 普段インプットする上で気をつけてることってありますか?
ふくだ う〜ん、言うほど本も読まないし...。やっぱりTwitterになっちゃうんですよね。「#作字」で調べたりとか。
たかしー いくらでも出てきますもんね。みんなやってるから。
ふくだ あとはもう作りながら作字の本をみたりとかするくらいですね。『作字百景』※ってあるじゃないですか、僕あれ持っててあれを見ながら作ったりとか。あとは『現代図案文字』※。黄色い表紙のやつ。
たかしー 僕もそれ多分買った気がするなと思って探したらありました笑良いですよね。明治とか大正時代の文字って凝ってますよね。
ふくだ 単純に面白いですね。でも自分でやろうとするとそう上手いかなくて。
たかしー 作るのにどれくらいかかりま すか?
ふくだ ラフ含めて平均4時間くらいですかね。4時間かからないかな...。以前は5、6時間とか普通にかかってて、ラフでずっとダラダラ。その割にはイラレに移っても全然使いこなせず...っていうのがあって。なので最近はラフはそこそこに切り上げ、あとはイラレで作ってますね。
たかしー そういうのって、作る人の職種によって変わりますよね。がっつり会社でデザイナーとかで働いてる人はラフの段階でほぼ完成させてイラレで調整したりとか。仕事とかだとそのやり方が 合ってて基本なのかな〜と思いますね。僕は作業時間だけならそんなに時間かからないですね。最近は何の文字を作るかで悩むことが多くて。速いときは30分くらい、長いときは3、4時間調整する時もあります。
ふくだ テーマとかお題にもよりますよね。僕は以前『十人十色』で作ったときは30分くらいで終わりました(笑)
たかしー あ、僕もそれくらいです!画数が少ないし同じ文字があるし、ぐちゃぐちゃしないほうがいいと思って。僕は人の(作品)を見すぎると人の(作品)に寄りやすいので(笑)
〈 今後の話 〉
たかしー 「今後」っていう意味ではふくださんは(作字を始めて)2年経って3年目。
ふくだ そうですね!
たかしー 目標というか、新しい事や続けていく事などはありますか?
ふくだ 自分の一貫したテーマに『面白くて可愛い』というのがあって、そこは続けて行きたくて。ただ同じテーマでも色んな表現の仕方があるので、今は3DCGをやったり、文字をモーショング ラフィック的に動かしたり...。展開や方法、手段は沢山あるので、そこのチャレンジはしていきたいですね。
たかしー モーショングラフィックスだと最近は『微熱』ですかね?
ふくだ そうですね。『微熱』は2Dのモーショングラフィックスを作った後に実写と合成しました。
たかしー あれは動かすのを想定して作ったんですか?
ふくだ 『微熱』に関しては全く想定してなくて。ただ、作ってから「これは動かし甲斐があるな」という見極めをしてますね。「見た人がワクワクするかどうか」は考えますよね。「ここがこうに動いたら面白いだろうな」というのが今回実写で合成したときも上手くいったので自分的には90点くらい。
微熱#作字 pic.twitter.com/38mFuobt2h
— ふくだ (@kika_kou) February 15, 2020
たかしー へえ~!
ふくだ あとは自分の技術力ですね。
たかしー どうしてもSNSなので、あまり意識したくないけど数字が出ちゃうじゃないですか。
ふくだ そうですよね。プレッシャーにはなります。
たかしー バズったとか、そういうのは例外ですけど普段の投稿で「これは良かったんだな」とかありますよね。投稿時間によるのかな?(笑)
ふくだ それこそたかしーさんは『東京』でめたゃくちゃ行った(バズった)じゃないですか!僕びっくりしましたよ!(笑)
東京
— たかしー@ (@ryokutya_83) January 22, 2020
左はタワー、右はツリー。#作字 pic.twitter.com/wmZhnSVbF1
たかしー 僕もびっくりしました(笑)あれは普段の作り方ではないけど、たまたま(東京タワーに)見えたから作ってみて。そのときから写真を入れ始めようと思って。本当は写真も自分で撮れたらいいんですけど。もしかしたら見てくれた人のほとんどは僕が撮った写真だと思ってるんじゃないかな...(笑)
ふくだ でもリプを見たところ文字が面白いって反応もありましたね。
たかしー あれは嬉しいですね。でも個人的にはあの前後で作った『群馬』の方が大好きなんですよ。自分の作り方に近いし、「良いな」と思って作ってたんで。 でも分かったのは『東京』みたいなのは分かりやすいし、それで増えた人(フォロワー)が必ずしもそれ以降見てくれてる訳ではないということ。フォローを切る訳ではないけど引き続きいいねを押してくれる訳でもない。基本的には、いいね押してくれる人は同じく作字をしている人か、好きで見てくれている人。これは結構難しいですよね。
ふくだ 確かに。SNSって前後関係を考えているのは作り手だけで、「これをこの時期に作ったんだよ」みたいな。実際見る側は、TLに流れてきて良かったらリアクションするだけで。だからどうなんだろう...それを我々が意識する必要があるのかどうか。今でも悩んでることですね。いっそシリーズ化しようかな、とか。
たかしー 一回思ったんですよね。
ふくだ なんか以前されてましたよね。星座とか。
たかしー 星座は全部やりましたね。そのあと『愚者』を作ったときにタロットで(シリーズ化を)やろうと思って、3つか4つくらい作ったんですよ。でもよく考えたら同じ文字が多かったり、1つの文字が3つくらい出てきて「月」とかどうしようとか思って。でも都道府県はやろうと思ってます。
ふくだ 都道府県いいですよ。僕も半年くらい前まで都道府県でやってました。
たかしー たしか自分で行ったところを作るんですよね。
ふくだ そうですそうです。スタイルも自分の中で統一してて。都道府県ってだいたい二文字じゃないですか。それを一文字として捉えるロゴ寄りの作字でシリーズ化してました。背景は必ず写真にして。
たかしー たまに「こういう事をやって上手く行ったらウケるのかな」とか思いますね。
ふくだ ウケを狙って行くときもありますし、でも「ウケを狙わない方が良い」 みたいな風潮があるじゃないですか。
たかしー あとは5月に展示があるんで(後、9月に延期)、 そこで何かまとめて、その作品はTwitterでは展示まで載せずに展示の後にぼちぼち...載せるとか考えてますね。昨年なんとか100作品やれたので、今年は200作品やろうかと考えていて。今は1日1個の流れでやってるんで、多分その目標数は超えられそうですね(笑)ペースは早めでやってます。
ふくだ 1日で2作品くらいアップしている時ありますよね!12月とか。
たかしー あのときは「1年で100作品」を意識しすぎて(笑)
初回の対談?どうだったでしょうか。初めての取り組みだったのでまだまだ荒い所が多いですが、次も作ることができればと思っています。もちろん他の方ともお話ししてみたいですし、何か企画を考えていろんな方に参加してもらえたらいいなと思っています。感想・改善点などありましたらDMなどで是非お伝えください!
※作字百景 ニュー日本もじデザイン...グラフィック社発。2019年
※新装復刻版 現代図案文字大集成...青幻舎発。2014年
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Writer この記事をかいたひと
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