DTMに挑戦するならここ!「深夜の2時間DTM」7年半の軌跡【#つくイベProject インタビュー】
こんにちは!キュレーターのとるてです。
今回は久しぶりのつくイベインタビューコーナー!主催者さんから詳しくお話を伺って、クリエイターさんのいろいろなギモンを解決していきます。
「#つくイベproject」では、Twitterやポータルサイトにて、SNS上で行われている作品募集などのクリエイティブ系イベントを紹介しています。プロジェクトについて詳しく知りたい方は、こちらのページをご覧ください。
さて、第5回は音楽系の人気イベント「深夜の2時間DTM」をご紹介。親しみやすくも謎の多い主催者さんにお話を伺うことが出来ました!1100回以上開催されるロングラン企画。根強い人気の裏側に迫ります。
★「深夜の2時間DTM」
深夜22時から2時間で制作したDTM(デスクトップミュージック)を投稿するTwitter企画。2021年11月にイベント開催1000回目を迎え、今も続いている。
公式サイト / 公式Twitter
DTMとは
デスクトップミュージック(和製英語: Desktop Music 、略称:DTM)はパソコンを利用して楽曲制作をおこなう音楽制作手法の総称である。一般的にパソコン上のミュージックシーケンサーで楽曲を制作し、音源モジュールやソフトウェア・シンセサイザーで発音・演奏する。(ウィキペディアより)
今回のインタビューは、とるてが参加させていただきました。
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Contents
制作、発表のハードルを下げる
──「深夜の2時間DTM」は、PCで制作する音楽、DTM(デスクトップミュージック)を投稿する人気企画ですね。このイベントを始めたのはなぜですか?
主催者さん:もともとは、作曲のきっかけ作りや、曲作りの時間を短くする練習、曲発表の場を作るために作ったイベントです。環境は整っているんだけど、作るのは難しかったり、作曲に慣れない内は時間をかけてしまうため、なかなか曲の発表にたどり着けなかったり、1曲完成しても、どこで発表したらいいかわからなかったり、たくさんのハードルがあります。
そういった初心者の方のために、この企画を始めました。
──最初はとにかく発表するのが大事ですもんね。
主催者さん:そうですね。作曲の方法や音楽理論などの解説サイトは結構あるんですけど、早く作ることを目的としたサイトはあまりないな、と思っていて。結構前に、60分で作曲をする別の企画が元々あったんですよ。良い企画だなと思っていたのですが、そのイベントの開催が止まってしまっていたので、勝手に「2時間DTM」を始めてしまいました(笑)
──元になったイベントがあるのですね。
主催者さん:2時間DTMと同じようなイベントだと、他には3時間のDTMイベントや、過去には1週間のDTMイベントもありましたよ。
短くても大丈夫!
──2時間という時間に決めたのはどうしてですか。
主催者さん:うーん。ちょっと1時間は短いなと。でも3時間になると、きっと間に休憩を挟まないときついし、集中力を保てないなと思って、ちょうどいいのが2時間かなと思いました。
──2時間で作るとなると、どれくらいのボリューム感を想定されているのですか。
主催者さん:人にもよりますが、1分から1分半ぐらいを想定してたかな。でも別に短くてもいいです。長い作品はすごいなと思いますけど、短くても全く問題ないです。
──長い曲も時々投稿されていますね。
主催者さん:そうですよね。すごいなと思います。これ僕が作ったら多分1分ぐらいの曲で終わるんだと思うんですけど(笑)
──主催者さんは、イベント開催中の2時間の間は何をされてるんですか。
主催者さん:そうですね。実はまだ仕事中だったり、帰宅直後だったりの時も結構あるんです。お題を出す時間は帰りの電車だったりとか…。
──深夜までお仕事お疲れ様です。そんな中でも、頻度がすごく高いですよね。お題を考えるのは大変じゃないですか。
主催者さん:大変な時もあります。直近でやったことのないお題を選ぼうと思うので、似たようなお題を出さないようにしているということと、最近のニュースとかを見て出していいかどうか判断するように気を付けています。
──「2時間DTM」のお題には、色々な種類がありますよね。例えば、特定の楽器を使った曲とか、こういうイメージの曲とか。参加者にとっては、どんなお題が挑戦しやすいでしょうか。
主催者さん:多分イメージ系のお題がやりやすいと思います。中でも、ざっくりしてるものの方が、初心者の方は取り組みやすいなと思っています。「海をイメージした曲」とか、完成系の幅が広いですよね。
▲お題はこんな感じで発表されます!
ゲーム音楽を作ってみたかった
──主催者さんもDTMをされているんですよね。いつ頃からDTMを始めたんですか?
主催者さん:中学ぐらいからです。結構長いですね。最初は作曲もしつつ、ちょっと遊んでみてって感じだったんですけど。ゲーム音楽を作りたくて、作曲に興味を持ちました。
──ゲームをよくされるんですか?
主催者さん:好きですが、幅は狭いかな。やっぱりゲームをやっていると、どうしてもBGMが耳につくじゃないですか。それでだんだん好きになっていきましたね。
──今作っているようなものも、ゲーム音楽に近いものだったりするんですか。
主催者さん:きっかけはそうだったけど、今作っているのはゲーム音楽ではないです。歌ものだったり、インスト系の電子音楽とかも作ってますね。ボカロを使ったりする時もあるし。
──歌モノも作られているんですね。私も大学ですこしだけ初音ミクを触ったんですけど、中々感覚がつかめませんでした。
主催者さん:聞いた感じと制作の過程が全く違いますもんね。楽器を演奏するのと制作の過程も違いますね。
──楽器の経験は?
主催者さん:以前はドラムをやっていました。高校と大学でバンドを組んでいたので、そこで。
──元々音楽が好きなんですね。
主催者さん:そうですね!音楽は大好きです。
──生の音楽とDTMの違いはなんだと思いますか?
主催者さん:難しい質問ですね(笑)手軽さ、自由度、偶然性かな...。生の音楽は楽器を用意し、練習し、人数を揃える必要があるので、手軽とは言いにくいです。自由度も、楽器そのものの限界や演奏者の技術力に依存します。
でも、微妙なズレが生む心地よさだったり、音に込める思いだったり、いろんなものの相乗効果で素晴らしい音楽が生まれる可能性があると思います。
一方、DTMはPCとツールがあれば良く、演奏技術などがなくても再現可能です。理想形に近づきやすいってことなのかな。ピアノ曲から大編成オーケストラまで、頑張れば一人で制作できるっていうのは大きな魅力です。
また、EDMなどの電子音楽については、DTMを使わずに作る方法が思いつきません。正確な音程やタイミングで音を出せることは良くも悪くもDTMならではです。あり得ない音や演奏をさせることについても賛否両論ありますが、これらも含めて、より多様な音楽を生み出す可能性があると思います。しかも一人で。
「2時間」の可能性は無限大
──主催者さんから見て、参加者さんはどういう方が多いイメージがありますか。
主催者さん:初心者の方から、中にはプロでやってますという方まで、色々な方が参加してくれていますね。
──おお!プロの方にとっても、練習に向いたイベントになっているんですかね。
主催者さん:プロの方に参加していただくことは想定していなかったんですけど、たまに気が向いた時とか、参加してくださる方がいるのかな?
──「2時間DTM」に参加するための専用アカウントを作っている方もいらっしゃいますよね!それに、参加作品を見ていると、動画を一緒にくっつけたりとか、いろいろ工夫されてる方がいて面白いなと思います。
主催者さん:「2時間DTMに参加している他の方とコラボしました!」みたいな投稿もあったりとか。ストーリー仕立てにしてみたりとか、色々な方がいらっしゃって、面白いなと思います。
──参加者同士のつながりができるというのもいいですよね。
主催者さん:現在では、他の参加者さんと繋がれるコミュニティとしての機能も大きいのかなと思います。確かに、初心者の人からしたらいろんな人と繋がるチャンスにもなるし、中~上級者は自分の曲に活かせるアイデアを、他の人の曲から得られる可能性がありますね。
──すごくたくさんの方が参加されていて、逆に聴いてもらう回数がこのイベントに参加すれば増えるのかなという印象がありました。
主催者さん:そう言ってくれる方もたくさんいますね。2時間で作った曲の方がむしろ再生数が上がってしまうという(笑)いいことか悪いことかはわかりませんが...タグが付いてるだけでみんな見てくれる、というイベントになっていると思います。
練習やラフ作りに活用して
──時間やお題が決まっているというのが、練習にいいですよね。
主催者さん:全く時間フリーだと終わりが見つからなくていつまでも作れてしまうし、お題がないと自由すぎて何を作っていいのか分からなくなってしまうことがあるので。きっかけ作りができてるのがいいのかなと思ってます。
──主催者さんご自身も、「2時間DTM」の中で曲を作ったことありますか。
主催者さん:たまにありますけど…アップしたことはないです。以前、「art_ippi」さんとコラボ企画を開催した時に、参考曲を作って公開しました。それが唯一アップした作品ですね。一応その参考曲も2時間で作っています。
▲「art_ippi」さんとのコラボ回
──どうしても2時間以上かかってしまうこともあると思いますが、時間がかかってしまってもOKですか?
主催者さん:一応開催側としては2時間以内で制作してほしいと思っていますが、正直多少のオーバーは大丈夫です。4時間とかかかってしまうと、さすがに2倍だしなと思ってしまいますが...。
──時間がかかってしまった場合は参加対象にはなりませんが、お題に困ったときなど、活用方法もありそうですね。
主催者さん:M3に出す曲とか、2時間DTMへの参加用以外にももしきっかけに困っているのであれば、例えば「2時間DTM」のお題を参考に、開催時間の2時間でちょこっとラフを作るのに活用してもらって、後でディティールを加えていくとか、そういう使い方をしてもらってもいいと思ってます。
1100回を超えるロングラン!
──現在、開催回数は1100回を超えていますよね。
主催者さん:そうですね。次何回目だろう。自分でも覚えていないくらいの回数になってきました。ここまでやると思ってなかったです(笑)
──「2時間DTM」は何年くらいやってらっしゃるんですか。
主催者さん:2015年の4月からなので、7年半くらいですね。
──やっぱり長い!参加者の方からの反響はありますか。
主催者さん:それはもうありがたいことに、お礼を言われたりとか、あとは体を気遣ってくださったりとか、コメントをくださいます。皆さん優しいので。
──「2時間DTM」のイベントアカウントの投稿内容を見ていると、親近感が湧きますよね。最近「お題投稿を忘れていました」みたいなツイートを見てしまったんですが…。
主催者さん:ちょっと忘れることが多すぎて、そろそろ許してくれないんじゃないかと思い始めてます(笑)でもやっぱり、皆さんのリプが優しくてありがたいです。
──たくさん思い出があると思いますが、一番盛り上がった回はありますか。
主催者さん:やっぱり1,000回目かなと。お祝いツイートを多くの方からいただけて嬉しかったです。「#深夜の二時間作詩」さんや「art_ippi」さんとのコラボ回も盛り上がりました。お題募集など、いつもと少し違う回は盛り上がりますね。長い企画ですが、イベント回は少ないので(笑)
僕自身ゲーム音楽からDTMに興味を持ったと言いましたが、ゲーム音楽を題材にした回は参加者数が多い気がします。参加者が少なかった初期の頃でも、ゲーム音楽の回は多めでしたね。ゲーム音楽に興味がある人が多いんだなと思いました。
▲「#深夜の二時間作詩」さんとのコラボ回
DTMを始めてみよう
──PCで作るDTMは、楽器の代わりに機材やソフトが必要になってくると思いますが、初めての時は機材や音源にあまりお金を掛けられないですよね。
主催者さん:個人的には作曲ソフトだけでも買ってしまった方がいいと思うんですけど、今後どれだけやるかわからないのにお金出しづらいですよね(笑)フリーの作曲ソフトもありますし、選択肢は様々です。ただ、有料の方が機能も多いし、使いやすいし、その後続けることを考えるとメリットは大きいと思います。
──音源にも、お金がかかるイメージかあります。
主催者さん:曲のクオリティアップに必要な場合もありますし、音源の購入が作曲のモチベーションアップに繋がることも多いので、買うメリットは十分あると思います。ですが、DTMを始めたばかりだったら最初に入ってる音源でやってみればいいんじゃないかなと。クオリティーはものにもよりますが、作曲ソフト買ったら中に音源がいくつか付いてるんですよ。あんまりいろんな音源を買おうと躍起になるよりは、最初から作曲ソフトに入っている音源を使って頑張ってみるのもいいんじゃないかな、と思います。
──DTMを始めてはみたけど、まだイベントに参加するほどじゃないな、という方はたくさんいると思います。
主催者さん:8小節くらいの短い曲でいいので、ぜひ一度「2時間DTM」に参加してみてほしいです。まずは作った曲を発表して他の人に聞いてもらうことで、自分のレベルが上がっていくし、次のステップに進めると思います。
毎回参加しなくても良いので、例えば土曜日に参加して、残りの日で足りないところを足してみたり、分析や研究をしてみたりする手もあると思います。
──たくさん投稿されている作品を聞くだけでも勉強になりそうです。引き続き楽しみにしています!
深夜の2時間DTMの参加方法
開催日の21時頃に、Twitterでお題が発表されます。
22時になったらTwitterで開始の合図があるので、24時までの2時間で楽曲制作に取り組みましょう。
曲が完成したら、投稿サイトに公開するか、曲を使った動画を作り、「#深夜の2時間DTM」をつけてTwitterに投稿してください。
同じお題でも全く違う曲がたくさん投稿されているはずです。ぜひ他の参加者の投稿をたくさん聞いてみましょう!
開催日は公式サイト、またはTwitterのヘッダー画像で確認してください。
googleカレンダーを同期すれば、自分のカレンダーに表示されて便利です!こちらもぜひご活用ください。
お知らせ
つくイベProjectでは、SNS上で行われている作品募集イベント(以下「#つくイベ」と称します)の情報を募集しています。
皆様の「#つくイベ」を当サイトに掲載させていただき、様々なイベントの情報を1か所に集めることで、イベントが今までよりも広まりやすく、かつ必要な方に届きやすくなると考えています。
「自分の作品募集イベントも紹介してほしい!」「この作品募集イベントがオススメなので取り上げてほしい!」といったご要望がございましたら、自薦他薦問わず以下のGoogleフォームよりぜひお知らせください!
必ず掲載できるとは限りませんが、今後新しい「#つくイベ」の紹介記事を執筆する際に参考にさせていただきます。
ぜひぜひよろしくお願いいたします!
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Writer この記事をかいたひと
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